日々アクティブに過ぎていく子育て中でも、すっきりとシンプルな暮らしをめざして。
元気いっぱいで太陽のようなお子さまたちとの日常は、エネルギーに満ち溢れています。そんななかでも、おだやかで清涼感のあるご夫婦。家づくりに関しても、シンプルでなるべくモノを置かない暮らしをめざしていました。しかし子どものモノというのは、どうしても溢れてしまいがち。衣服類はもちろん、幼稚園や保育園の持ち物、工作の作品や玩具、捨ててはならない謎の宝物。子どもは、汚したり散らかしたりするのが仕事ですから、なかなか室内をきれいにキープしておくことは難しいものです。そこで、散らかっても気にならないスペースと、モノを置かないスペースを、しっかり分けて考えることで、片付けも、日々の子育てや家事も、家族みんながストレスなくこなせる。そんな柔軟性のあるプランを考えていきました。
玄関からリビングに入る木製ガラス引戸
木製のガラス引き戸は、開放すると玄関とリビングが一体化し、気持ちのよい抜けを感じることができます。奥さまはきちんと収納を心がける方ですので、そういった開放感を上手に使いこなしてくれそうです。ガラス戸にすることで、ほどよい明かりが行き交うことができます。
シナ合板目透かし張り仕上げのキッチンカウンター
キッチンカウンターには、どんな空間にも馴染みやすいシナ合板を使用。やさしい木目が印象的です。
子育て世代の新築住宅では、キッチンは家の司令塔
キッチンのプランには、さまざまなスタイルがあります。完全にリビングと分離したキッチンもあれば、フルオープンに近いアイランドキッチン、人気の対面式。リビングと一体で、壁のほうを向いているキッチンもあります。子育て世帯の新築住宅では、リビングと一体の対面キッチンが1番オーソドックスかもしれません。キッチンを家の中心に置くことで、キッチンに立っているだけで、庭を含めた家全体を見渡すことができ、子どもたちにも気を配ることができます。キッチンへ入る動線も限定できますので、チャイルドゲートなどを使って、子どもが危険なキッチンに入るのを防ぐことも可能です。お子さまの成長に合わせて、少し目を離しても楽に家事ができるようになったり、いずれは一緒にキッチンに立つ時もあるかと思います。ご家族にとって、良いコミュニケーションの場にもなるでしょう。
玄関付近からリビングの東側を見る。奥には、上がり座敷。和室の横にある木戸は、奥行きが300mm〜450mmの作りつけ収納です。薬箱や日用品などのストック、子どもたちのちょっとした着がえなどを収納することで、すっきりとしたリビングをキープすることができます。
キッチン脇のガラス戸の奥には、水回りや2階に上がるための階段があります
裸足で歩いたり、寝そべったり、時にはペロッと舐めてみたり。触覚が大事な子どもには無垢材がおすすめ
リビングの床は、オークの床材。積層の集成材ですが、表面は本物の無垢材です。裸足で歩いてみると、木の固さ、柔らかさ、厚みを足の裏で感じることができて、「家」と対話をしているような気もしてきます。床面を250mm上げた上がり座敷は、もちろん畳ですので、子供たちはリビングの床とは違う触感を感じるはずです。建物の素材だけでなく、木の匂いや風の通り道、光のやわらかさなど、住まいを取り巻くさまざまな要素を、ご家族で楽しみながら、いくつもの思い出を作っていただけたらと思っています。
引き渡しの際、お子さまが五感をフルに使って、真新しい住まいを楽しむ姿は、本当に微笑ましいものでした。ゴロゴロと床を転がったり、寝そべってみたり、走ってみたりと、空間や素材を感じながら、いろいろな感覚を養ってくれるのではと思っています。上がり座敷は、子どもにも高齢の方にも安全で、かつデザイン的にもバランスの良い、高さ250mmの段差をつけてあります。
リビングと続き間になっている畳スペースは、想像以上に便利です。
リビングと続き間になっている畳スペース。引き戸を閉めてしまえば突然の来客でも隠すことができますし、床面をリビングから少しあげた上がり座敷にしておけば、多少散らかっていても、案外、気にならないもの。要は、すっきり片付いている部分(リビング)と、多少散らかしてもいい場所(和室)のメリハリが大事です。和室も、引き戸のデザインや壁、窓の位置など、リビングと調和する仕様になっているので、若いファミリーにも馴染みやすい空間に仕上がっています。