埼玉県日高市の新築木造住宅は一級建築士事務所/独楽蔵へ

【設計事務所が建てた家に暮らすひとの日常】椅子の記憶

【暮らしnote No.18】
writing:maiko izumi

埼玉県入間市にアトリエを構える建築設計事務所 独楽蔵 KOMAGURAが設計した新築木造住宅に住む生活者(maiko izumi)から見える日々の暮らし

子どもの頃の私にとって、椅子はとてつもなく自由で、素晴らしく想像力をかき立てる、最高の遊び道具だった。ダイニングテーブルを囲むいつもの椅子を、リビングの真ん中に引っ張ってきて、ふたつみっつ並べれば、そこはもうコンサートホールになる。

椅子には観客役の子と、ぬいぐるみ。カーテンの中から登場するのは、アイドル役の子。ひとり歌うと、観客とアイドルは順次入れ替わり、全登場人物絶対的アイドル劇場が繰り広げられた。椅子はとても魅力的なフォルムをしているので、ひっくり返すことで、また新たな世界が広がる。天井に向かった足の部分をハンドルに見立てれば、操縦席に。座面は、時にコンピュータ画面だったり、時に窓だったり。空も飛べるし、宇宙へも行ける。水陸両用にもなるし、なんならタイムトラベラーにだってなれる。

我が家にあった丸いスツールは、逆さにすると、体ごとすっぽり入れた。すると兄がスツールをグラグラ揺らしてくれて「嵐がきたぞ、大波がきたぞ」と叫ぶ。波にのまれたスツールの小舟は、ひっくり返りかえり、気づけば、私は砂浜に投げ出されている。と、そこから無人島ごっこの幕開けだ。 椅子を並べて、上からふわっと毛布をかければ、秘密基地に。 何個か噛み合わせて、牢屋にすれば、囚われの姫に。柵越しに姫友だちが渡してくれるお菓子は、切なく甘い。

どこにも行けない雨の日も、椅子の下にもぐるだけで、いつもの部屋が違った世界に見えたりした。何者にもなれる、何処にでも行ける、椅子にはきっと、そんな魔法があるのかもしれない。 大人になり、椅子をひっくり返して空想の世界を楽しむようなことは、さすがになくなったけれど、お気に入りの椅子と出逢い、一緒にかけがえのない物語を紡いでいくことは、とてもしあわせなのかもしれない。

建築設計事務所 独楽蔵(こまぐら)では、新築のペットと暮らす木造住宅はもちろん、庭づくりや古民家や中古住宅のリフォーム、リノベーション、現況調査や耐震補強などのご相談もお受けしています。今、お住まいの住宅で、気になっている部分、ご不明な点や疑問点などあれば、電話やメールなどでお気軽にご相談下さい。

建築設計事務所 独楽蔵(こまぐら) 担当:長崎まで
04-2964-1296 komagura@komagura.jp

この住宅の完成時の様子はこちら↓
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