埼玉県日高市の新築木造住宅は一級建築士事務所/独楽蔵へ

【設計事務所がつくった家に暮らす日常】我が家の洗濯と室内、野外の物干しスペースの問題について

【暮らしnote No.14】
writing:maiko izumi

埼玉県入間市にアトリエを構える建築設計事務所 独楽蔵 KOMAGURAが設計した新築木造住宅に住む生活者(maiko izumi)から見える日々の暮らし

一日のなかに、細やかに編み込まれるように「洗濯」という家事は存在する。夜は、家族みんなの衣服と、子どもの部活の汚れ物を二回に分けて洗う。朝は、夜には間に合わなかったパジャマにタオル、布団カバーなどを洗濯する。気づけばずっと洗濯を回し、干し、たたみ、仕舞うという洗濯無限ループに迷い込んでいる気がする。

洗濯タスクのひとつに「洗濯物どこに干すか問題」というものがある。我が家の場合、家族の成長と共に、試行錯誤を繰り返しながら、ゆるやかに変化し続けてきた。通常であれば、庭のデッキやバルコニーなどに、洗濯干しのスペースをしっかり確保するべきなのだが、我が家は設計士である夫の、オープンハウス的な役割も兼ねていたため、あえて洗濯干しの場所を作らなかった。

その変容を、振り返ってみる。

家族全員で川の字で寝ていた頃は、まだ使われない二階の子ども部屋が、洗濯干し場として活躍した。ちょうどウッドデッキに面しているので、天気の良い日は、そのまま外へ。雨や花粉の季節は室内と、理想的なユーティリティスペースだった。子どもが少し成長すると、ふたつ並びの子ども部屋の、うちひとつに、2段ベッドがやってきた。

次男は意外にクールで、最初から別々の子ども部屋で寝ると宣言したのだけれど、慌てた長男が「お兄ちゃんと一緒に寝ないと、怖いことあるぞ」と弟を丸め込み、かろうじて二人でひとつの部屋になった。よって、残りの子ども部屋は、引き続き洗濯スペースとして生き残った。

ところで我が家は、長らく勉強机を買わずに、子どもがリビングで勉強するというスタイルをとっていた。私自身、在宅でデスクワークをすることが多かったので、仕事や家事をしながら、子どもの音読を聞いたり、宿題の丸つけをしたり、学校の話を聞いたり。この何気ないひとときが、楽しい親子の時間だったように思う。しかし長男が中学生になった時、さすがにひとりで過ごす時間や空間も大切だろうということで、子ども二人に勉強机を買い、各々の個室に分かれることになった。2段ベッドは切り離され、家族それぞれの時間軸も、少しずつ変化していった。

さて、そこで再びの洗濯物問題である。

1階も2階もデッキは十分に広いが、ルーフバルコニーを作らなかった為、雨の際に洗濯物が濡れてしまう。二階の廊下は、横幅が狭すぎる。さまざまな場所でトライ&エラーを繰り返し、洗濯スペースは、大きな開口部に面したリビングの窓際に落ち着いた。ここなら、夜に大量の洗濯物を干しても、夏は風通しがよく、冬は薪ストーブで乾きやすく、生乾きの匂いも残らない。洗濯における、すべての動線もスムーズだ。

しかし。

家のなかで、もっとも眺めがよく、風も光も、ストーブのぬくもりも感じられる、まさに我が家の特等席に、洗濯物と犬のケージがセットされることになってしまった。

犬 > 洗濯物 > 人という関係性が生まれてしまう。

これは、建築設計士の自邸として、由々しき事態ではないか。

夫は、ダイニングテーブルでコーヒーを飲みながら「ここから眺める美しい借景を最大限に活かすために、開口部の大きさや向きを細やかに設計したんだけどな」と呟く。そう、現実はそんなにうまくいかない。でも、想定外のことを面白がりながら、悩んだり、ちょっと立ち戻ってみたり、いいアイディアを分かち合いながら、新しい景色を育んでいけたなら。

モデルルームやスタイリッシュなインテリア雑誌だけでは、見えてこない、本当に人が生きている家にこそ、日々の暮らしの醍醐味があるのかもしれない。思い切って乾燥機を買うか。可動式のオーニング(日よけ)を付けるか。そうこうしているうちに、子どもがこの家から巣立っていくのかしら。などと、いろいろな未来を話しながら、我が家の「洗濯物どこに干すか問題」は、もうしばらく続きそうだ。

建築設計事務所 独楽蔵(こまぐら)では、新築のペットと暮らす木造住宅はもちろん、庭づくりや古民家や中古住宅のリフォーム、リノベーション、現況調査や耐震補強などのご相談もお受けしています。今、お住まいの住宅で、気になっている部分、ご不明な点や疑問点などあれば、電話やメールなどでお気軽にご相談下さい。

建築設計事務所 独楽蔵(こまぐら) 担当:長崎まで
04-2964-1296 komagura@komagura.jp

この住宅の完成時の様子はこちら↓
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