
古い木立の枝が覆いかぶさって、影をつくり、トンネルのような小径。周囲とは温度も違いますし、違う世界に行ってしまうような気さえしてしまいます。そんな小路を通り抜けると雑木林の中に、突然、入母屋の立派な日本家屋が現れます。施主のNさんは、この家の近くにある神社の宮司さんです。現在ある敷地に先祖代々住み続けて約800年になるそうです。
家の建っている場所は周囲より少し小高くなっていて、時より気持ちのいい風が吹き抜けます。先人がいい場所を探してここに場所を決めたのだろうと、自然に納得してしまいます。現在の家は、先代のお父さんが35年前に建てた日本家屋。今は住む人はいない状態でしたが、社務所のような役割で使われていました。今回はその住宅を現代の家族の暮らしにあった住宅に大規模リノベーション(改修)する計画です。

陽当たりや風通しのいい場所をリビングにする
元々は、家で一番、日当たりがよく快適な場所に、広縁と和室(客間)の続き間が配置されている伝統的な日本家屋の間取りでした。今回の計画では、その場所を家族のスペースとしてのLDKを配置するために階段や台所も大きく移動して組み替えます。