“どんな家を、どこに建てるか?”を見極める〜広い敷地(屋敷)の建て替えは、土地の利用計画と建物の配置計画から〜
約300坪の広い敷地の中には、車庫兼物置、蔵などの別棟が点在しています。現在住んでいる家を残しながら、新しい住宅を建てることができる広さがあるので、逆にさまざまな課題が出てきます。計画は、まず「新しい家を、敷地のどの部分に建てるのか」という検討から始まりました。
選択肢として、以下の3パターンが考えられます。
① 敷地の空地部分に家を建てる→工事中、現在の家を解体する必要がないので、違う場所に引っ越しする手間は省くことができます。しかし完成後は、南側の庭が狭く、敷地の北側に広大な空地が生まれてしまいます。
② 現在と同じ場所に家を建てる→工事中、引っ越しの必要があります。完成後は、現在と同じように庭を使うことができますが、現在でも少し庭が充分に広いので、今後の管理や整備が少し負担になります。
③ 現状から南に2m移動した場所に家を建てる→新築する敷地の北側は道路に面しているので、道路から6m程度を駐車場(11台分)にして、近隣の方に貸し出す。庭も少し面積が減って、管理が楽になります。
検討を重ねた末、もっともメリットがある③の方法で計画を進めることになりました。
古い母家の記憶を、新しい住まいに繋ぐ〜古い材料や道具の再利用(リサイクル)〜
古い家の客間には、4枚組の木製板戸が使われていました。4枚をあわせると、4500mmの長さになります。新しい家では、長さ4500mmの引戸を使うスペースはありませんので、4枚の中から、状態の良い建具を2枚チョイスして、リビングと上がり座敷(和室)の間の両引き分け戸として再利用することにしました。住み継いだ家屋の材料をリサイクルすることで、新しい住まいにもまた、代々のご家族が紡いできた、時の積み重ねを感じることができます。
リペアで再利用した板戸の様子はこちら